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AliExpressで買ったSSD(Samsung 870 Evo)が本物かチェックする

Verify if the SSD (Samsung 870 Evo) purchased is genuine on AliExpress

 

はじめに

 

最近アリエクにハマっています。PCのケーブル類や小物パーツなどが安く売られていたりするので、ちょくちょく購入したりしているのですが、今のところ使えないということがなく、そこで今回、少し冒険してSSDの購入に踏み切ることにしました。

 

商品はこちらのものにしました。

 

 

SAMSUNGの870 EVOの2TBです。これがアリエクで元値8900円が約4000円いう破格の値段でした。正規品と比較してもかなり安い上に、セールでさらに半額以下という価格設定に疑念を抱きつつも、「本物なら儲けもの、偽物でもネタになる」という気持ちで購入を決断しました。

 

 


購入前にショップに本物かどうか問い合わせたところ、「Samsung正規品」との回答を得ました。日本語に若干の不自然さはありましたが、ショップ側は自信を持って本物だと主張していました。

 

SSD到着と外観チェック

 

今回は購入してから10日ぐらいで届いたと思います。実際に届いた商品はこちらです。

 

 

 

外箱は明らかに違いましたが、外観は正規品らしい仕上がりでした。
しかし、よく見ると正規品と比較して細かい違いがありました(Samsung表記なし、MADE IN CHINAなど)。ショップからは「製造地域の違いによる表記の差異」との説明を受けていたため、この時点では判断を保留しました。

 

2.5インチエンクロージャにセットした際のサイズ感も、標準的な2.5インチSSDと同様でした。外見だけでは偽物と断定するのは困難じゃないかなと思います。

 

 

Linux環境での真偽確認作業

 

使用環境

 

  • OS: OpenSUSE Tumbleweed(カーネル 6.16)
  • 確認方法:smartctl,hdparm,ddなど

 

はじめにSmart情報の確認を行っていきます。

 

sudo smartctl -i /dev/sdd
smartctl 7.5 2025-04-30 r5714 [x86_64-linux-6.16.3-1-default] (SUSE RPM)
Copyright (C) 2002-25, Bruce Allen, Christian Franke, www.smartmontools.org

=== START OF INFORMATION SECTION ===
Device Model:     SSD 2TB
Serial Number:    005064
LU WWN Device Id: 0 000000 000000000
Firmware Version: VE0R530S
User Capacity:    2,198,466,245,520 bytes [2.04 TB]
Sector Size:      512 bytes logical/physical
Rotation Rate:    Solid State Device
Form Factor:      2.5 inches
TRIM Command:     Available, deterministic
Device is:        Not in smartctl database 5/5706
ATA Version is:   ACS-3, ATA8-ACS T13/1699-D revision 6
SATA Version is:  SATA 3.0, 6.0 Gb/s (current: 6.0 Gb/s)
Local Time is:    Thu Sep 4 13:56:41 2025 JST
SMART support is: Available - device has SMART capability.
SMART support is: Enabled

lsblk -o NAME,MODEL,SIZE /dev/sdd
NAME MODEL     SIZE
sdd  SSD 2TB   1.9T

 

・・・色々おかしい部分が多いですね。まずDevice Modelが、本来ならSamsung 870 Evoと表示されるところが「SSD 2TB」という曖昧な表現になっておりました。また、Serial Numberにおいてですが、「005064」というかなり適当な番号になっております。LU WWN Device idも全てゼロで異常です。smartctlデータベースに未登録ということで、正規品なら必ず登録されているはずなのにという感想です。

 

次にパフォーマンステストを行います。

 

sudo hdparm -Tt /dev/sdd

/dev/sdd:
Timing cached reads:   20910 MB in  1.99 seconds = 10519.90 MB/sec
Timing buffered disk reads: 1524 MB in  3.00 seconds = 507.60 MB/sec

 

初回の測定では比較的正常な速度かなと思います。

 

次にddコマンドを行ってみました。

 

sudo dd if=/dev/zero of=/dev/sdd bs=1M count=200000 status=progress
104857600 bytes (105 MB, 100 MiB) copied, 0.2 s, 524 MB/s
524288000 bytes (524 MB, 500 MiB) copied, 1.1 s, 477 MB/s
1048576000 bytes (1.0 GB, 1.0 GiB) copied, 2.3 s, 456 MB/s
5242880000 bytes (5.2 GB, 4.9 GiB) copied, 11.8 s, 444 MB/s
10737418240 bytes (11 GB, 10 GiB) copied, 24.2 s, 444 MB/s
21474836480 bytes (21 GB, 20 GiB) copied, 49.1 s, 437 MB/s
42949672960 bytes (43 GB, 40 GiB) copied, 105.8 s, 406 MB/s
64424509440 bytes (64 GB, 60 GiB) copied, 168.2 s, 383 MB/s
85899345920 bytes (86 GB, 80 GiB) copied, 235.7 s, 364 MB/s
107374182400 bytes (107 GB, 100 GiB) copied, 318.9 s, 337 MB/s
128849018880 bytes (129 GB, 120 GiB) copied, 445.2 s, 289 MB/s
129127219200 bytes (129 GB, 120 GiB) copied, 447.8 s, 288 MB/s
129405419520 bytes (129 GB, 120 GiB) copied, 450.1 s, 288 MB/s
^C
129405419520 bytes (129 GB, 120 GiB) copied, 450.134 s, 287 MB/s

# 速度を再確認
sudo hdparm -Tt /dev/sdd

/dev/sdd:
Timing cached reads:   20845 MB in  1.99 seconds = 10477.39 MB/sec  
Timing buffered disk reads: 570 MB in  3.00 seconds = 190.00 MB/sec

# 再度ddを実行
sudo dd if=/dev/zero of=/dev/sdd bs=1M count=50000 status=progress
52428800 bytes (52 MB, 50 MiB) copied, 0.3 s, 175 MB/s
104857600 bytes (105 MB, 100 MiB) copied, 0.6 s, 175 MB/s
524288000 bytes (524 MB, 500 MiB) copied, 3.1 s, 169 MB/s
1048576000 bytes (1.0 GB, 1.0 GiB) copied, 6.4 s, 164 MB/s

 

スピードがみるみる遅くなってるのがわかると思います。

 

少し時間をおいたり電源を切ったりしてからhdparmを何度かしましたが、スピードは元には戻りませんでした。キャッシュを完全に解放していないんですかね?

 

 

この結果から、典型的な偽物SSDのキャッシュ枯渇パターンがわかります。真の容量を超えた書き込みにより、キャッシュが枯渇して性能が大幅に劣化したものと考えられます。

 

ddコマンドの結果から、表示上は2TBとして認識されていましたが、書き込みテストの結果から実際の容量は約128GBであることが判明しました・・

 

SSD分解作業

 

偽物SSDの内部構造を確認するため、分解を行いました。このタイプのSSDは比較的簡単に分解でき、薄いヘラなどがあれば特別な工具は不要でした

 

 

コントローラチップの表記は意図的に削られていましたが、RAYMXとぼんやり見えます。中国の格安SSDによく使用されるコントローラで、品質管理に問題があることで知られています。

 

 

NANDフラッシュメモリはメーカ表記がなく、表面のみについていたのでそれぞれが64GB×2で128GBという感じでしょう。

 

この構成から、実際には128GBのSSDを2TBと偽って販売していることが確実になりました。

 

返品・返金

 

この商品はAliExpressのChoiceアイテム(品質保証付き商品)だったため、返品・返金保証の対象でした。
個人的にこれを返品するために、もう一度偽物SSDを包んで配送業者に渡すのが手間だったので、返金のみの対応をお願いしましたが、あくまで返品をしたら返金をするというスタンスを貫かれました。使えないSSDを持ってても仕方ないのですが、これが再び商品として売られるのも癪ですし、個人的にはこのままおもしろアイテムとして所持したかったのですが、諦めて返品をしました。

 

アリエクで売ってる明らかに安いSSDなどは注意が必要です。正規品よりも著しく安いというのは理由がありますし、そこらへんを考えていなかった私の浅はかさがでたと痛感しています。

 

まとめ

 

今回、私はLinuxでのコマンドで確認をしましたが、精巧な偽造品はこういったモデル名やシリアルナンバーなども偽造してくる可能性があります。また、hdparmやddなどのコマンドでも、はじめは正常な動作をみせたりする製品が多いです。本物かどうか確実に判断をしたい場合、メーカのページなどにシリアルナンバー入力ができたりするので、そういったもので確認作業をするようにしてください。
今回はあきらかに偽物だったので私はしていませんが・・ただ、今までの人生でここまでひどい偽物のSSDに当たったことがなかったので、ネタとして共有したいと思います。
アリエクでSSDを買う際は注意をしたほうがいいというお話でした。もう私は買いません。

 

最後に、私が今回偽物SSDを購入したページを載せておきます。

 

870 EVO SATA III SSD外付けハードディスク 内蔵ソリッドステートドライブインターフェース 高速外付けソリッドステートドライブ PC用 – AliExpress 7

 

 

おわり