Linux 6.13による自宅サーバーの変化まとめ
Summary of home server changes with Linux 6.13
はじめに
前回、Linux 6.13による自宅サーバーの消費電力の変化について簡単にまとめました。
ただ、更新後のデータが少ないこともあってか本格的な比較もできなかったので、今回それを行っていきたいと思います。やることは前回と同じですので、簡単にまとめていきます。
動作・消費電力比較
Linux 6.12のシステムログ取得期間ですが、1月9日 14時~1月30日 10時半ということで、20日と20時間30分の同じデータ量を比較するために、2月20日の7時までのデータを用意しました。
※2月14日にマザーボードをGigabyte GA-H77M-HD3からASUS P8Z68-Vに換装してしまいました。
マザーボードの消費電力の変化についてですが、以前使っていたHシリーズのGigabyteの方がZシリーズと比べて省電力設計です。オーバークロック用の機能やマルチGPU対応、独自の省電力機能(EPUなど)など追加回路を持つため、基盤単体としての消費電力は新しく変えたP8268-Vの方が高めになるとは思っていますが、まあほぼ誤差の範囲なのかなと思っています・・(メモリが4枚刺したかった)
CPU使用率
全体(平均:アップデート前6.34% アップデート後5.97%)

アップデート前が平均6.34%に対し、アップデート後は5.97%とわずかな低下が見られます。
絶対値は低いですが、約6%前後の使用率で動作しているため、更新後は若干の省力化が図られたと考えられ、全体の効率が向上していると思います。
CPU周波数
全体(平均:アップデート前2277.77MHz アップデート後2309.37MHz)

アップデート前の平均が2277.77MHzに対し、アップデート後は2309.37MHzと約31MHzの上昇がありました。
この増加は、カーネルのスケジューリングやパワーマネジメントの最適化の結果として、より効率的にCPU資源が活用されている結果だとは思いますが、頻度上昇が必ずしも省電力面で有利とだけは言えず、性能向上を重視した挙動とも解釈できます。
パッケージ消費電力(PC全体)
全体(平均:アップデート前9.96W アップデート後9.77W)

平均値は9.96Wから9.77Wへと0.19W、約2%程度の削減が確認されています。
全体的なシステムの電力消費がわずかに低減している点は、カーネルアップデートによる省電力機能が効果を発揮していると考えられます。
CPUコア消費電力
全体(平均:アップデート前3.65W アップデート後3.58W)

アップデート前は平均3.65W、アップデート後は3.58Wと、こちらも約2%程度の減少が見られます。
この結果は、CPU内部の各コアがより効率的に動作している可能性を示し、更新による省電力効果としては肯定的です。
CPU温度
全体(平均:アップデート前35.40 アップデート後 計測不可)

マザーボードを換装した際にCPU温度が取れなくなっていました。現在はコードの修正で取得ができるようにはなりましたが、データが取れていなかったのは残念です・・
まとめ
前回の記事のことをすっかり忘れていたため、途中で友人からもらったマザーボードに付け替えるなどしてしまいましたが、これが測定結果に少なからず影響を与えている可能性があります。特にマザーボードの交換によってCPU温度の測定ができていませんでしたし、色々とやらかしました・・
全体として、Linux 6.13へのアップデートは、CPU使用率の低下と消費電力の僅かな削減という面で省電力・効率向上が見られます。一方、CPU周波数の上昇はパフォーマンス向上を意図している可能性もあり、システムの動作最適化の一環と考えられます。温度データの欠損はありましたが、各項目とも改善傾向が認められ、総合的にはアップデートが省電力性と効率性の向上に寄与していると評価できます。
ただ、今回のような小規模なサーバーでは、改善効果自体が極めて微小であるように思います。CPU使用率の低下は約0.4%、消費電力削減も約2%程度と、実際の運用に与える影響は限定的です。また、アップデートに伴うバグやシステムの複雑性の増加といったリスクもありますし、このような微小な改善のためにリスクを負う価値があるかどうかは、実際の運用環境によって異なるでしょう。
しかし、個人的にはアップデートしてよかったかなと思っています。気休めにも電気代が少しは安くなった気がしますし・・自宅サーバーの運用は長期的な視点で見ると、こうした小さな改善の積み重ねが意外と大きな差になることもありますから
サーバー運用は単なる実用性だけでなく、このようにシステムを最適化していく過程自体が一種の趣味としての楽しみでもあります。マザーボード交換という予定外の出来事がありましたが、それも含めて自宅サーバーいじりの醍醐味だと前向きに捉えています()
おわり