RHEL 9.5リリースによる派生ディストリビューションの違い

Differences in the release of derivative distributions due to the release of RHEL 9.5

はじめに

2024年11月12日(現地時間)に、RHEL 9.5が発表されました。RHELをベースにしている主要な派生ディストリビューションがほぼ同時期にリリースされたので、今回のリリースでどのような違いがでているのかまとめました。
昨日の記事で、AlmaLinuxOS 9.5についてのレビューを書いていますので参考になれば幸いです。

リリースの特徴

これらのリリースノートを参考にしました。
https://docs.oracle.com/en/operating-systems/oracle-linux/9/relnotes9.5/
https://docs.rockylinux.org/release_notes/9_5/
https://wiki.almalinux.org/release-notes/9.5.html
RHEL9.5から追従リリースなので、基本的なアップデートには共通点が多いです。

共通点

  • GCC 11.5へのアップデート
  • Apache HTTP Server 2.4.62
  • Node.js 22の追加
  • GCC Toolset 14、LLVM Toolset 18.1.8、Rust Toolset 1.79.0、Go Toolset 1.22
  • Grafana 10.2.6
  • OpenSSL 3.2.2へのアップデート

Cockpit web consoleのファイル管理機能の追加(cockpit-filesパッケージ)
Podman 5系のアップデート(AlmaLinuxについては言及なし)

それぞれの違い

OracleLinux 9.5

Unbreakable Enterprise Kernel (UEK)の提供

  • UEK Release 7 Update 3, 5.15.0-302.167.6
  • x86_64とaarch64プラットフォーム向け

Leappユーティリティによるアップグレードパスの詳細な説明
Oracle Database 19cとの統合に関する言及
ハードウェア認証プログラムの提供

RockyLinux 9.5

クラウドイメージビルドシステムの刷新

  • OpenSUSEのKIWIとEmpanadasを使用

詳細なテストプロセスの公開
migrate2rockyユーティリティによる他のEnterprise Linux 9からの移行ツールの提供

AlmaLinux OS 9.5

SELinuxポリシーの拡張

  • QEMU Guest Agentの制限付きコマンド実行を許可するブーリアンの追加

Java向けの暗号化ポリシー制御の拡張 NSS暗号化ツールキットのバージョン3.101への更新

まとめ

Oracle Linuxは商用環境での利用を意識した機能と保証を重視
Rocky Linuxはコミュニティ主導の透明性の高い開発モデルを採用
AlmaLinuxはより広範なハードウェアプラットフォームとセキュリティ機能の拡張に注力

個人的にこのようなリリースの違いを感じました。基本的に大きな違いはありませんが、小さな違いとして、OracleはOracle製品を使うビジネスユーザー向け、RockyとAlma Linuxは様々なユーザーに向けてのリリースという感じでしょうか

おわり